遺産の使い込みについてのQ&A

遺留分侵害請求Q&A

Q.

他の相続人に遺産が使い込まれています(または他の相続人から遺産の使い込みを疑われています)。弁護士に相談したいのですが、どのような準備をすれば良いのでしょうか。

A.

遺産の使い込みに関するご相談は、特に通帳や取引履歴が重要です。 取引履歴の取得方法については、当サイトの情報【6−3預貯金の調査】をご覧下さい。

Q.

父は10年前に5000万円の預金があると言っていましたが、今は2000万円しかありません。父の通帳を管理していた兄に差額の3000万円を返すよう請求できますか。

A.

実際に使い込みがあったか否かや、使い込まれた金額の判断にあたっては、使い込みのあった時期の通帳や取引履歴が重要です。

これらの資料を見ると、お金の引出し方から使い込みがあったか否かについてある程度の判断ができるからです。

実際、使い込みが争いになる場合のうち、本当に使い込みがあったと思われるのは、半分程度です。

特に、上記のような大雑把な主張がなされる場合は濡れ衣であることが多く、裁判所では通用しないものとお考えください。

Q.

遺産の使い込みについての争いは、どのように解決したら良いのでしょうか。

A.

遺産の使い込みについての争いは、ほとんどが遺産分割協議の中で起きています。

このような場合、遺産の使い込みについての争いに加えて、遺産分割そのものについても決着を図る必要があります。

従って、遺産の使い込みについての争いは、多くの場合、遺産分割調停の中で解決を図ることが近道になります。

Q.

遺産の使い込みについての争いが遺産分割調停の中で決着が付かない場合、使い込みがあったか否かを家庭裁判所が判断してくれますか。

A.

いいえ。遺産分割について調停で決着が付かない場合は、最終的には別の手段が必要です。

意外に思われるかもしれませんが、もともと、遺産の使い込みについての争いは、遺産分割そのものではありません。

なぜなら、遺産分割は、あくまで被相続人が亡くなった際に持っていた財産をどう分けるかの問題であり、「使い込みがなければあったはず」の財産は分割の対象ではないからです。

そうは言っても、遺産分割の争いに付随して、使い込みの有無が争点になる場合が多いため、裁判所では、使い込みに関する争いについても、事実上、遺産分割調停の中で取り扱ってくれます。

しかしながら、ある程度話し合っても決着が付かない場合、預貯金の使い込みに関する争いは、調停に続く遺産分割審判では扱うことができません。

Q.

遺産の使い込みについて、遺産分割調停の中で決着が付かない場合はどうなりますか。

A.

あくまで使い込みに関する決着を付けたい場合は、使い込みがあったと主張する側が、地方裁判所に訴訟を提起することとなります。

手続が二重となり大変ですが、裁判所の管轄が異なるためやむを得ないものとお考え下さい。

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弁護士からのメッセージ

弁護士  加藤 尚憲

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