Q.
故人の葬儀費用として150万円が必要となりました。遺産分割をする際に、故人の預金額から150万円を差し引いてから残りを分割すれば良いのでしょうか。
A.
一概には言えません。相続人の間で意見が異なる場合は、弁護士にご相談下さい。
葬儀は亡くなった方を弔うために行うものである以上、葬儀費用は相続財産から支出することが当然であるとお考えの方が世間一般には多いと思われます。従って、相続人の間で異論がなければ、そのような処理をしても問題はないと思われます。
遺産分割の争いに端を発して、葬儀費用を誰が負担すべきかについて、争いになったケースがいくつか存在します。そのような場合、世間一般の考えと異なり、裁判所は必ずしも相続財産の負担となると判断してきたわけではありません。理論上は、葬儀費用は被相続人の死亡時には発生していなかったものである以上、相続債務ではないことは明らかだからです。
過去の裁判例によると、葬儀費用の負担者については、相続人全体の負担と判断したもの、喪主の負担としたものなど、様々に分かれていて、一言で言い切ることは難しい状況です。 葬儀費用は葬儀の規模により異なりますが、葬儀が被相続人の社会的地位に相応しい規模を超えていなかったかなどの事情を踏まえて判断している裁判例もあります。従って、相続人間に争いがある場合は、個別的事情に照らし、どのような処理が適当であるかについて、弁護士の意見を聞くことが適当と思われます。
なお、四十九日の法要の費用については、葬儀費用に関する上記の議論とは別に、喪主負担と考えることが一般的とされています。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲