Q.
昨年祖父が亡くなりましたが、祖父の遺産分割の話し合いが終わらないうちに相続人の一人である父が病気で亡くなってしまいました。
そこで私が父の相続人として祖父の遺産分割に加わることになりました。
私は、祖父が亡くなる前に、祖父から留学費用の援助として大きめの金額を受け取ったことがあります。これは、特別受益として相続分に影響することになるのでしょうか。
A.
特別受益として相続分に影響しないものと考えられます。
相続人が、遺産分割を行う前に死亡する場合があります。これを「再転相続」といいます。
再転相続が発生した場合、亡くなった相続人(これを「被再転相続人」といいます。)の代わりに、その相続人の更に相続人(これを「被再転相続人」といいます。 )が、遺産分割の当事者となります。
再転相続の場合、再転相続人又は被再転相続人が被相続人から利益を受けているときは、それが再転相続人にとって特別受益として考慮されるかが問題となります。
裁判例は、被再転相続人が利益を得た場合と、再転相続人が利益を得た場合とで結論が異なります。
次の①~③の順に、それぞれの出来事があったとします。
①被再転相続人(例:子)への贈与
②被相続人の死亡(すなわち相続の発生)
③被再転相続人の死亡(孫による再転相続)
特別受益に該当する(最高裁平成17年10月11日決定)。
次の①~③の順に、それぞれの出来事があったとします。
①再転相続人(例:孫)への贈与
②被相続人の死亡(すなわち相続の発生)
③被再転相続人(例:子)の死亡(孫による再転相続)
特別受益に該当しない(大阪高裁平成15年3月11日決定)。
弁護士からのメッセージ
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弁護士 加藤 尚憲