Q.
先日父がなくなりました。遺産分割協議をしようとしたところ、弟から手紙が来て、相続分を叔父に譲ったと書いてありました。
私は叔父とは仲が良くなく、叔父とは遺産分割協議を行いたくありません。何か方法はあるでしょうか。
A.
相続分取戻権を行使します。
共同相続人の1人が遺産分割前に相続分の譲渡を行ったときは、他の共同相続人は、1ヶ月以内に相続分の価額と費用を支払って、相続分を取戻すことができます(民法905条)。 これを「相続分取戻権」と呼びます。
相続分取戻権が規定された趣旨は、家族間で行われる遺産分割に他人が介入する不都合を防ぐことにあります。従って、譲渡の相手方が相続人や包括受遺者である場合は、相続分の取戻権を行使することはできないと考えられています。
相続分取戻権を行使する相続人は、その相手方に対して、「相続分の価額」と「費用」を支払う必要があります。
この「相続分の価額」とは、相続分の譲渡価格ではなく、取戻権を行使した際の相続分の評価額(時価)によると考えられています。従って、相続分の譲渡が無償で行われた場合も、相続分の価額の支払いが必要と考えられています。
また、「費用」とは、相続分の譲渡が行われた際に、譲渡に要した費用であると考えられています。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
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これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲