10-4-2 遺留分権利者と遺留分の割合

10-4-2 遺留分権利者と遺留分の割合

(1)遺留分権利者

遺留分を持つ法定相続人を「遺留分権利者」といいます。
遺留分権利者は、法定相続人のうち、以下の相続人です。
① 配偶者(夫又は妻)
② 血族 第1順位 直系卑属(子、孫など)
第2順位 直系尊属(父母など)
※法定相続人のうち兄弟姉妹、甥・姪(第3順位)には遺留分はありません。

(2)遺留分の割合の算定方法

遺留分の割合の算定は、次の2段階で行います。

STEP① 総体的遺留分の決定
まず、民法の定めに基づき、遺留分権利者全員の遺留分の合計(これを「総体的遺留分」といいます。)が決定します。
STEP② 個別的遺留分の算定
次に、遺留分権利者が複数いる場合は、総体的遺留分にそれぞれの遺留分権利者の法定相続分を掛けて、特定の遺留分権利者の遺留分(これを「個別的遺留分」といいます。)を算定します。

STEP①とSTEP②を式で表すと、以下の通りになります。
個別的遺留分総体的遺留分×法定相続分

それでは、総体的遺留分と法定相続分それぞれについて、いくらになるかを説明します。

(3)総体的遺留分

総体的遺留分は、相続人が誰かによって決まり、以下の通りです。

①直系卑属(子・孫など)又は配偶者のいずれかが遺留分権利者の場合
相続財産の1/2 

②直系尊属(父・母など)のみが遺留分権利者の場②直系尊属(父・母など)のみが遺留分権利者の場合
相続財産の1/3 

(4)法定相続分

総体的遺留分は、相続人が誰かによって決まり、以下の通りです。

法定相続分は、以下の通りです(【法定相続分】)。

①直系卑属(子、孫など)(第1順位)が法定相続人の場合
直系卑属(合計)1/2 

② 直系尊属(父母、祖父母など)(第2順位)が法定相続人の場合
直系卑属(合計)1/3 
配偶者 2/3 

(5)具体例

① 家族の紹介
良太郎さんには、長男の太郎さんと二男の次郎さんがいました。
良太郎さんの妻の和子さんは10年前に亡くなりました。

②良太郎さんの遺言
ある日、良太郎さんが天寿を全うして亡くなりました。良太郎さんは、太郎さんにすべての財産を相続させるとの遺言書を残していました。次郎さんは、遺留分として、どれだけの相続財産を相続することができる権利があるのでしょうか。

結 論

次郎さんは遺留分として
相続財産の4分の1を相続する権利があります。

(解説)

①遺留分権利者
次郎さんは、良太郎さんの直系卑属として、遺留分権利者となる資格があります。

(a)総体的遺留分
直系卑属である次郎さんが遺留分権者となるため、総体的遺留分は、相続財産の2分の1となります。
(b)個別的遺留分
被相続人の子である次郎さんの法定相続分は2分の1です。従って、次郎さんの個別的遺留分は、総体的遺留分である2分の1に法定相続分である2分の1を掛けて計算し、4分の1となります。

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