Q.
相続による争いを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。
A.
遺言書を作成することが最も効果的です。
遺言書を作成することにより、誰がどの相続財産を承継するのか、予め決めておくことができます。
有効な遺言書が作成された場合、原則として、相続財産は遺言書の通りに分配されるため、遺産分割協議を行う必要がありません。従って、遺産分割による争いが発生する余地がなくなります。
遺言書が存在しない場合、相続財産の分配は、相続人全員の合意により定まります。すなわち、相続人の一人でも合意しない場合は、遺産分割協議がまとまりません。一度話し合いがこじれた場合、話を進めるために格段に多くの労力と時間を費やすことになります。従って、トラブルの種が見えている場合は、必ず対策をしておくことが後に残される相続人のためになります。
遺言書の作成や生前贈与など、相続対策を行う際は、専門家のアドバイスを受け、正しい知識のもとに行って下さい。
専門家ではない方が、自分の判断や近所の人から聞いた話をもとに相続対策を立てると、間違った対策を行う可能性があります。
例えば、遺言書を作成する代わりに、相続人となる予定の方の間で相続について合意書を作成している方を見かけることがあります。
しかし、そのような合意書には遺産分割協議書と同等の効力はないものと考えられます。従って、相続人が翻意した場合は、合意書は役に立たない可能性が高いため注意が必要です。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言とがあります。それぞれの遺言書の作成方法について、別途詳しく説明します。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲