10-3-4 遺産分割方法の指定

10-3-4 遺産分割方法の指定

(1)遺産分割方法の指定とは

被相続人は、遺言で、相続財産の分割方法を定めることができます(民法908条)。これを「遺産分割方法の指定」といいます。

(2)遺産分割方法の指定がある場合

遺言者が相続財産のすべてについて遺産分割方法の指定を行う場合は、相続財産は、すべて遺言の指定により分割されるため、相続人は遺産分割の合意を行う必要がありません。
従って、遺言書が存在する場合は、一般的には遺産分割の合意は行われません。
もっとも、遺言書があっても、(何らかの事情により)相続人がこれと異なる内容の遺産分割の合意を行うことは可能です。相続人が遺言の内容と異なる遺産分割の合意を行った場合、遺産分割の合意が優先します。

(3)「遺産分割方法の指定」と「相続分の指定」の違い

遺産分割方法の指定は、遺言により、特定の財産を特定の相続人に直接帰属させます(相続開始後の遺産分割協議は不要)。

例)「東京都千代田区一丁目1番1号の土地を長男に相続させる。預貯金はすべて次男に相続させる。」
相続分の指定は、相続分の割合のみ定め、具体的な相続財産の分け方は相続人の協議に委ねます(相続開始後の遺産分割協議が必要)。
例)「長男と次男にそれぞれ相続財産の2分の1を相続させる。」
相続分の指定の場合、相続財産に不動産や預貯金など複数の財産が含まれる場合、遺言書で抽象的に「2分の1」といっても、具体的にどの財産をどの相続人が相続するかは、遺産分割協議を行わないと決まりません。

(4)「相続させる」旨の遺言

遺言書では、良く特定の相続財産を誰々に「相続させる」などという表現を使います。
この「相続させる」という言葉が、遺贈なのか遺産分割方法の指定なのかについて、かつては見解が分かれていました。
なぜこのような解釈が問題になるかというと、遺贈と遺産分割方法の指定とでは、登録免許税(不動産登記にかかる登記手数料)の額が異なっていたからです。 現在は、平成3年の最高裁の判例に従い、原則として遺産分割方法の指定であると考えられています。

最高裁平成3年4月19日判決
特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるかまたは遺贈と解すべき特段の事情のない限り、遺産分割の方法が定められた遺言と解すべきである。

(5)指定の第三者への委託

被相続人は、分割方法の指定を第三者に委託することもできます。
例)「遺言執行者に対し、相続財産のすべてにつき、その分割方法の指定を行うことを委託する。」

(6)清算型の指定

遺産分割方法の指定として、特定の財産を処分し、これを相続人間で分配するという方法があります。
例)「遺言執行者において本件不動産を売却し、代金から売却費用を控除した残額を長男太郎と二男次郎に半分ずつ相続させる。」

弁護士からのメッセージ

相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。

弁護士からのメッセージ

弁護士  加藤 尚憲

弁護士に依頼するメリット

  • 弁護士が代わって交渉するため、相手と直接話し合う必要がなく、ストレスが軽減します
  • 弁護士の専門的知識を背景にした判断により、損失を避け、最短距離の解決を目指します
  • 税理士・司法書士との連携により、相続税の申告や相続登記までワンストップで進めることができます
 

東京西法律事務所の特長

  • 豊富な経験に基づく質の高いアドバイスを提供します
  • 十分な時間をかけた丁寧なサービスを提供します
  • 良好なご相談環境を提供します
 

相続に関するご相談はこちら

03-5335-9742受付時間:平日午前9時~午後6時

03-5335-9742受付時間:平日午前9時~午後6時

東京西法律事務所