4-2-6 代襲相続

4-2-6 代襲相続

Q.

先日、父方の祖父が亡くなりました。父は若くして他界したのですが、私は父に代わって祖父を相続することができますか。

A.

できます。

(1)代襲相続

被相続人が死亡するよりも先に、本来相続人となるべき人が死亡したこと等により、相続権を失うことがあります。
そのような場合に、本来相続人となるべきであった人の直系卑属が相続人に代わって相続することがあります。これを「代襲相続」といいます。

(2)代襲者と被代襲者

上記の場合の孫の立場にあたる人(すなわち代わりに相続人となる人)を「代襲者」といいます。「代襲相続人」と呼ぶこともあります。
生きていれば相続人となるはずであった子の立場にあたる人を「被代襲者」といいます。

(3)代襲相続が発生する場合

代襲相続が発生するのは、
①直系卑属が死亡等により相続権を失った場合(民法887条2項、3項)と、
②兄弟姉妹が死亡等により相続権を失った場合(民法889条2項)の2通りあります。
直系尊属には、代襲相続の適用はありません。

(4)代襲者の法定相続分

代襲者の法定相続分は、以下の通りです。

①代襲者が1人の場合
被代襲者の法定相続分と同じです。

②2人以上の代襲者が存在する場合
代襲者は、あたかも被代襲者の相続であるのと同じように、法定相続分に従って被代襲者の相続分を分け合います。 例えば、被代襲者に子供が2人いる場合、子供の相続分は被代襲者の相続分の2分の1ずつとなります。

(5)直系卑属の死亡等による代襲相続

直系卑属の死亡等による代襲相続のうち典型的なものが、被相続人の子が死亡した場合の孫による代襲相続です。
孫による代襲相続は、以下の条件がすべて満たされる場合に発生します。

①被相続人の子が相続発生前に死亡したこと(民法887条2項本文)
②死亡した被相続人の子に子(すなわち被相続人から見て孫)がいること(民法887条2項本文)
③上記②の被相続人の孫が、被相続人の直系卑属であること(民法887条2項但書) (上記③の説明)

上記②の被相続人の「孫」は、通常は、被相続人にあたります。従って、通常は問題とはなりません。ただし、後に説明する「養子の連れ子」の場合に条件を満たさない場合があります。

(6)具体例(直系卑属の代襲相続)

良太郎さんには太郎さんと次郎さんの2人の子がいました。
良太郎さんの妻の和子さんは既に亡くなっています。

太郎さんと妻の花子さんとの間には小太郎さんという子がいましたが、太郎さんは若くして病気で亡くなっています。

ある日、良太郎さんが高齢により亡くなりました。

これから良太郎さんの相続財産について遺産分割協議をします。

結論

①法定相続人
良太郎さんの法定相続人・ ・ ・小太郎さん、次郎さんの2人
②法定相続分-
小太郎さんの法定相続分 1/2
次郎さんの法定相続分 1/2

解説

本来、相続人となるはずだった太郎さんが良太郎さんより先に亡くなっているため、太郎さんの子である小太郎さんが代襲相続します。
太郎さんの代襲相続が1人のため、小太郎さんの相続分は、太郎さんの相続分と同じ2分の1です。

(7)再代襲

被相続人の子だけでなく、その子である孫も死亡している場合、更にその子の曾孫(ひ孫)が代襲相続します。
代襲相続が二回重なることを「再代襲」といいます。
このように、被相続人の直系卑属が死亡している場合は、生存している直系卑属にたどり着くまで何度でも代襲相続を繰り返します。
従って、相当高齢の方が亡くなった場合、曾孫(ひ孫)、玄孫(やしゃご)やその下の代が相続人となる場合があります。

(8)兄弟姉妹の死亡等による代襲相続

兄弟姉妹が死亡等により相続権を失った場合は、死亡等した兄弟姉妹の子(被相続人から見て甥・姪)が代襲相続します。
甥・姪による代襲相続は、以下の条件がすべて満たされる場合に発生します。
①兄弟姉妹が相続発生前に死亡したこと(民法889条2項・民法887条2項本文)
②死亡した兄弟姉妹に子(すなわち被相続人から見て甥・姪)がいること(民法889条2項・民法887条2項本文)
なお、代襲相続は、仮に被代襲者が死亡等していない場合は、相続人となるはずであったことを前提としています。 従って、そもそも兄弟姉妹が生存していても相続人とはならない場合(すなわち、被相続人の直系卑属又は直系尊属が生存している場合)は、代襲相続は発生せず、甥・姪は相続人にはなりません。

(9)具体例(兄弟姉妹の代襲相続)

(上記(6)の具体例の続きで)

良太郎さんに次いで、次郎さんも未婚のまま亡くなりました。

結論

①法定相続人
次郎さんの法定相続人・ ・ ・小太郎さん

②法定相続分
小太郎さんの相続分・・・1/1(全部)

解説

次郎さんには、直系卑属(第一順位)も、直系尊属(第二順位)もいません。 従って、もし、兄弟姉妹(第三順位)である太郎さんが、次郎さんの相続発生時に生きていれば、太郎さんは法定相続人になっていたはずです。

ところが、太郎さんが次郎さんより先に亡くなっているため、太郎さんの子である小太郎さんが代襲相続します。
次郎さんの相続人は小太郎さん1人のため、小太郎さんの相続分は、1分の1(全部)です。

(10)甥・姪の死亡等と再代襲相続

甥・姪が死亡等により相続権を失った場合、甥・姪の子は代襲者となることができません(民法889条2項が同法887条2項のみを準用し、同条3項を準用しないことが法律上の根拠となります)。
従って、直系卑属が被代襲者である場合と異なり、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りです(即ち、再代襲相続なし) 。

(11)代襲相続の原因となる事由

これまで、代襲相続について、典型的な場合である被代襲者が死亡した場合を例に説明して来ました。
これに限らず、代襲相続が発生する場合をすべて挙げると、以下の通りです。
被代襲者が・・・
①死亡した場合
②相続欠格事由に該当する場合
③廃除された場合

法定相続人が相続を放棄した場合は、代襲相続は発生しません。
相続欠格事由については、【相続欠格】で説明します。
相続人の廃除については、【相続人の廃除】で説明します。
相続の放棄については、【単純承認・放棄・限定承認の選択】で説明します。

(12)養子縁組と代襲相続

養子の子については、実子の子と異なり、代襲者となることができる場合が限られています。
養子縁組後に生まれた「養子の子」は、代襲者となることができます。
これに対し、養子縁組前に生まれた「養子の子」(すなわち養子の連れ子)は、代襲者となることができません。
なぜなら、代襲者は相続人の直系卑属に限られる(民法887条但書)ところ、養子の連れ子は、養親の血族にはならないからです。

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