4-2-8 被相続人に非嫡出子がいるとき

4-2-8 被相続人に非嫡出子がいるとき

Q.

父が先日亡くなりました。私の母は、事情があり父とは結婚していません。私は父の法定相続人となりますか。

A.

あなたが認知を受ければ、お父さんの相続人となります。

(1)非嫡出子とは

婚姻関係にない男女間に生まれた子を「非嫡出子」といいます。

(2)非嫡出子の相続

相続は、被相続人と相続人との間に法律上の親子関係が存在することを前提としています。
非嫡出子と母の法律上の親子関係は、分娩(出産)によって当然に成立します。
これに対し、非嫡出子と父との法律上の親子関係は、認知によって初めて成立します。
従って、非嫡出子は当然に母の法定相続人となりますが、父の法定相続人となるには、認知を受ける必要があります。

(3)認知の方法

①任意認知(民法779条)
戸籍法に従った届出を提出することにより(民法781条1項)認知を行います。最も一般的な認知の方法です。

②裁判認知(民法787条)
認知を求めて裁判所に訴えを提起することができます(実際には、訴訟の前に調停手続が行われます)。

③遺言認知遺言によって認知を行うことができます(【遺言書の内容】)。

(4)非嫡出子の法定相続分

以前は、(認知を受けた)非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされていました(旧民法900条4号但書)。

ところが、平成25年9月4日に最高裁大法廷がこれを違憲であると判断したことから、被相続人の相続分を差別する定めが削除され、現在では、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子と変わりがありません。

(5)過去に発生した相続への影響

それでは、最高裁の平成25年9月4日決定は、過去に発生した相続についてそのような影響があるのでしょうか。

(a)既に決着した相続について
上記最高裁決定は、平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された他の相続につき、民法900条4号但書を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと述べています。

最高裁がこのような判断を行った理由は、過去に遡って遺産分割や審判の効力を失わせることは、世の中に大きな混乱をもたらしかねないからです。

従って、既に行われた遺産分割の合意や審判については、その効力は最高裁決定後も維持されるものと考えられます。

(b)決着前の相続について
世の中には、相続が発生した後、遺産分割を行わないまま数十年が経過する場合もあります。このような、昔に発生した相続についても、非嫡出子が嫡出子と同じ相続分があるか否かについては、検討の余地があります。

もともと、最高裁は、平成25年9月4日の決定以前は、繰り返し非嫡出子の相続分を定めた民法900条4号但書を合憲と判断してきました。 これに対し平成25年9月4日の決定では、「我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化」など、時代の変化を挙げ、(この決定の対象となった相続が発生した)「遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していた」と判断しています。

すなわち、平成25年9月4日の決定は、平成13年7月以前に発生した相続に関する非嫡出子の相続分については、旧民法900条4号但書の適用について合憲違憲どちらとも判断していません。

むしろ最高裁は、平成25年9月4日の決定では、従前の判断について、「その相続開始時点での本件規定の合憲性を肯定した判断を変更するものではない」と述べています。

そして、これらの従前の判断の中には、平成12年6月30日に発生した相続を対象とするもの(最高裁判所平成21年9月30日決定)があります。

従って、平成12年6月以前に発生した相続については、なお民法900条4号但書を合憲とする判断は維持される可能性が高いものと思われます。

以上、結論として、
①平成12年6月以前の相続については、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1
②平成12年6月から平成13年7月までの相続については不明
③平成13年7月以降の相続については、非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ
となるものと思われます。
もっとも、上記②については、実際上は違憲とする判断が出やすいものと思われます。

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