相続の手続において、被相続人と相続人の関係を確認するため、戸籍簿の写しが必要になります。戸籍簿は、その人の本籍地の市区町村が管理しています。
戸籍の写しには、戸籍謄本と戸籍抄本があります。
「戸籍謄本」は、戸籍に記載された事項全部の写しです。「戸籍抄本」は、戸籍に記載された事項のうち一部の写しです。
相続の手続には、原則として戸籍謄本を用います。手続により、戸籍抄本で足りる場合もありますが、通常は同じ戸籍謄本を複数の手続のために使い回すこと、戸籍謄本はいかなる場面でも使用が可能なことから、必ず戸籍謄本を取得します。
以前は、戸籍は、紙でできた戸籍台帳として保管され、これをコピーして戸籍謄本を作成していました。
しかし、平成12年頃から、戸籍は全国でコンピューター化され、戸籍謄本も、現在ではコンピューター上のデータを打ち出して作成しています。
従って、厳密には、戸籍謄本はもはや謄本(原本のコピー)ではないため、正式には「戸籍全部事項証明書」と呼ばれています(書面上も、「これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。」などと記載されています)。
ただし、コンピューター化後も、一般にはこの「戸籍全部事項証明書」を慣例上「戸籍謄本」と呼んでおり、役場の窓口でも「戸籍謄本」で通用します。従って、このサイトでも同じように「戸籍全部事項証明書」を「戸籍謄本」と記載します。
人の一生のうちに戸籍制度が変わることが何度かあります。
戸籍制度の変更があった場合、戸籍簿も作り替えられます。このことを「戸籍の改製」といいます。戸籍の改製があった場合、改製前の戸籍は「改製原戸籍」と呼ばれます。
相続の手続のために被相続人の戸籍謄本を取得する場合、通常は、平成12年頃のコンピューター化に伴う改製と、昭和23年の戦後の制度改正に伴う改製の2回の改製を経ています。
相続の手続のために戸籍謄本を取得する場合、人の一生分の戸籍を遡って取得することが良くあります。そのような場合、取得対象の戸籍に改製原戸籍があれば必ず取得します。
戸籍簿は、そこに記載された人の全員が婚姻、転籍、死亡などによりいなくなった場合、除籍されます。除籍された戸籍簿は、除籍簿(除かれた戸籍)として保管されます。
除籍簿の写しを「除籍謄本」といい、被相続人など、人の死亡を証明することが必要なときは、その人の死亡の旨が記載された除籍謄本を取得します。
もっとも、同じ戸籍簿に記載されている人が複数いる場合、そのうち1人が死亡しても戸籍簿は除籍されない(例:配偶者の一方のみが死亡した場合)ため、その場合は、除籍謄本ではなく、被相続人の死亡が記録された戸籍謄本を取得します。
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弁護士 加藤 尚憲