9-1-7 相続人が未成年者の場合

9-1-7 相続人が未成年者の場合

Q.

先月夫が死去したため、遺産分割をしたいと思います。相続人は、私と子供2人ですが、子供のうち1人は未成年です。親である私が法定代理人として遺産分割の合意をしてよいのでしょうか。

A.

遺産分割の合意を行うためには、親権者自身が相続人の場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

(1)相続人が未成年者の場合

前提として、未成年者である相続人は、自分一人では有効に遺産分割の合意を行うことができません(民法5条)。従って、未成年者が遺産分割の合意を行うときは、通常は代理人を通じて行います。

(2)親権者が相続人でない場合

未成年者が相続人となる多くの場合は、親権者も相続人となります。しかし、親権者が相続放棄を行うなどの理由により相続人ではない場合、親権者は、法定代理人として未成年者に代わって遺産分割を行うことができます(民法824条) 。

(3)未成年者と親権者がともに相続人となる場合

これに対し、未成年者と親権者がともに相続人となる場合は、遺産分割について親権者と未成年者との間に利益相反があるため、親権者が未成年者の代理人として遺産分割の合意を行うことはできません。
従って、親権者又は他の相続人は、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立て、特別代理人が未成年者に代わって遺産分割の合意を行います(民法826条1項)。

(4)複数の未成年者が相続人の場合

複数の未成年者が相続人の場合、未成年者の間に利益相反があるため、1人の人が同時に複数の未成年者の特別代理人となることはできません(民法826条1項) 。 従って、親権者自身が相続人の場合、親権者は誰の代理人となることもできないため、未成年者の数と同じ人数の特別代理人の選任が必要となります。

(5)特別代理人選任の申立手続

特別代理人の選任の申立を行うためには、裁判所に以下の書類を提出します。
①申立書
申立書の書式と記入例は、以下の通りです。
【申立書の書式】(裁判所ホームページより)
【裁判所ホームページ上の説明 】
②未成年者の戸籍謄本
③特別代理人候補者の住民票又は戸籍の附票
④利益相反に関する資料
⑤(利害関係人からの申立ての場合)
利害関係を証する資料
申立書に収入印紙800円(未成年者1人あたり)と郵便切手を添えて裁判所に提出します。
特別代理人の選任の申立を行う場合、予め特別代理人の候補者を用意の上、申立を行うことができます。特別代理人は、遺産分割に利害関係のない人である必要があります。そこで、例えば弁護士など利害関係のない第三者に特別代理人となるよう依頼することができます。

(6)特別代理人の選任を行う場合に必要な時間

後見人の選任の申立は、親族や利害関係者が自分で行うこともできますが、すべてを自分で行うことは手間がかかるため、弁護士に代理人となることを依頼することもできます。

(6)後見人自身が相続人の場合

特別代理人の選任の申立てから、実際に特別代理人が選任されるまで、実務上少なくとも2~3週間程度の期間がかかります。
他方で、相続税の申告が必要な相続の場合、申告期限までに申告を行う必要があります【相続税のあらまし】。従って、相続税の申告が必要な相続の場合で特別代理人の選任が必要なときは、相続開始後すみやかに申立の準備を開始することが必要です。

(7)専門家の利用

特別代理人の選任の申立を行う場合、弁護士などに申立書の作成と特別代理人となることをまとめて依頼すると便利です。

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あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。

弁護士からのメッセージ

弁護士  加藤 尚憲

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