各相続人の相続税額は、次の手順で計算します。
手順① 相続税の割り付け
相続税の総額を、各相続人に対して、実際の相続財産の取得割合に応じて割り付けます。
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手順② 相続税額の2割加算・税額控除
各相続人の相続税額に所定の税額の加算と控除を行い、最終的な相続税の納税額が決まります。
相続・遺贈により財産を取得した人が、亡くなった方の一親等の血族および配偶者でない場合には、その人の相続税額にその税額の20%相当額を加算します。
各相続人の相続税額から、次に該当する場合には、相続税額の減額を行います。
贈与税額控除 | 暦年課税の場合:すでに支払った3年分の贈与税額 相続時精算課税制度の場合:制度の利用により支払った贈与税額 |
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配偶者の税額軽減 | 配偶者が取得した相続財産が、法定相続相当分と1億6000万円のいずれか大きい額に達するまでは配偶者に相続税がかかりません。 |
未成年者控除 | (20歳-相続開始時の年齢)×10万円 |
障害者控除 | 一般障害者の場合(85歳-相続開始時の年齢)×10万円 特別障害者の場合(85歳-相続開始時の年齢)×20万円 |
相次相続控除 | 今回の相続(2次相続)の開始前10年以内に開始した相続(1次相続)により、今回の相続の被相続人が財産を取得し、相続税が課税されている場合に、1次相続の際に支払った相続税のうち、一定の金額が控除されます。 |
外国税額控除 | 相続によって、国外財産を取得した場合であって、その財産の所在地で相続税が課税された場合に、その財産を取得したものの相続税額のうち、一定の金額を控除します。 |
① 家族の紹介
良太郎さんと和子さん夫婦には、
長男の太郎さんと
二男の次郎さんがいます
② 良太郎さんの相続
高齢により、ある日良太郎さんが亡くなりました。
良太郎さんが亡くなった時、良太郎さんの財産は預金3億円でした。
遺産分割協議の結果、相続財産は和子さんが1億5千万円、太郎さんが1億円、次郎さんが5千万円を取得することになりました。
和子さん、太郎さん、次郎さんは、それぞれいくら相続税を納めることになるでしょうか。
和子さんの納税額・・・・ 0円
太郎さんの納税額・・・・ 1907万円
次郎さんの納税額・・・・ 953万円
まず、この事例では、相続税の総額は、5720万円です(【相続税の総額の計算(STEP2)】)。
これを、各相続人が実際に取得した相続財産の割合に応じて割り付けると以下の通りになります。
和子さんの割付け額・・・・ 5720万円÷3億円×1億5千万円=2860万円
太郎さんの割付け額・・・・ 5720万円÷3億円×1億円 =1907万円
次郎さんの割付け額・・・・ 5720万円÷3億円×5千万円 = 953万円
最後に、和子さんには配偶者の税額軽減が適用されます。すなわち、和子さんが実際に相続した財産が、法定相続相当分又は1億6000万円のいずれか大きい額に達するまで、和子さんには相続税がかかりません。今回、和子さんが相続した財産は、丁度法定相続分です(また、1億6000万円を下回ってもいます)。結論として、和子さんには相続税の負担はありません。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲