Q.
私の主人は会社に在職中に亡くなりました。会社の規定によると、妻である私には死亡退職金が支払われることになっています。この死亡退職金は、相続財産として遺産分割の対象とする必要があるのでしょうか。
A.
死亡退職金は相続財産とならない可能性が高いと考えられます。
会社の従業員や役員が死亡した場合、遺族に対し、退職金規程等に基づき死亡退職金が支給されることがあります。
死亡退職金が支給される場合、退職金規程等において、労働基準法施行規則42条を準用するなどの方法により、支給対象である遺族が特定されていることが一般的です。そして、指定された支給対象者は、民法の定める法定相続人とは必ずしも一致するものではありません。
死亡退職金が相続財産でない場合は、退職金は遺産分割の対象とはならず、会社の規定により定められた受取人が全額を受け取る事ができます。
死亡退職金を相続財産ではないと判断した判例が複数あります(最高裁昭和58年10月14日判決、最高裁昭和60年1月31日判決、最高裁昭和62年3月3日判決など)。
死亡退職金が相続財産ではない以上、相続を放棄したとしても、相続人は死亡退職金を受け取る権利を失うことはありません(【相続の放棄】)。
死亡退職金は、民法上は相続財産ではないものでも、相続税法上は相続財産とみなされる場合があります(相続税法3条)。
ただし、死亡退職金には一定の非課税枠(原則、法定相続人×500万円)があります。
死亡退職金の税法上の取扱いについては、【課税遺産総額の計算(STEP1)】をご覧下さい。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
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まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
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弁護士 加藤 尚憲