Q.
次男の結婚にあたり、もともと私が所有している土地に一軒家を建て、次男の名義にしてやりました。
ところで、相続の際には、これは特別受益となり次男の相続分は少なくなるとのことですが、次男は実家のそばに住んで他の兄弟に比べても私たちに良くしてくれるので、私としては相続の際には兄弟平等に分けてもらいたいと思っています。何か方法はあるでしょうか。
A.
特別受益の持戻しの免除をすることができます。
被相続人は、遺言などにおいて、「特別受益の持戻しをしない」という意思表示を行うことができます(これを「特別受益の持戻しの免除」といいます)(民法903条3項)。
特別受益の持戻しの免除の意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で有効となります(民法903条3項)。
持戻し免除の意思表示は、特定の形式によることが必要とはされていません。
また、「明示の意思表示」に加えて「黙示の意思表示」があった場合でも良いとされています。
①「明示の意思表示」・・・はっきりとした「持戻しを免除する」との意思表示がある場合
②「黙示の意思表示」・・・明示の意思表示がなく、状況から見て持戻し免除の意思表示があったと認められる場合
ただし、黙示の意思表示は、相続開始後にそのような意思表示があったか否か、またその解釈について争いになることがあるため、特別受益の持戻しの意思表示をするためには、遺言書の中に記載することをお勧めします。
次男が実家で親と同居していたが、長男が戦争から復員して同居を始めたため、次男が住居を購入して独立した。その際、「次男に家を出ていってもらわなければいけない申し訳なさ」から親が次男に住宅購入資金を援助した。(鳥取家裁平成5年3月10日審決)
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲