9-3-4 特別寄与料の請求 

9-3-4 特別寄与料の請求

Q.

故私は夫に先立たれた後、夫の両親の介護を続けて来ました。先月、義父が亡くなりましたが、夫の兄弟からは感謝の言葉一つありません。私には何の権利もないのでしょうか。

A.

あなたは、相続人に対し、特別寄与料を請求することができます。

(1)特別寄与料とは

【相続法改正アップデート】
令和元年7月1日以降に発生した相続について、被相続人の親族が、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、その親族は、相続の開始後、相続人に対して寄与に応じた金額の支払を請求することができます。
この権利を「特別寄与料」といいます。

(2)制度理由

特別寄与料は、相続法の改正で新たに採り入れられた制度です。
元々、例えば妻が義理の父母の介護を行った場合、相続の際に、妻の貢献分が、配偶者の夫の寄与分として認められる場合がありました(9-3-2寄与分に関する実例 参照)。
ところが、夫に先立たれた場合、その後、義理の両親の介護を行ったとしても、既に相続人である夫が亡くなっているので、相続の際に妻の貢献に報いる方法はありませんでした。
このような場合の救済方法として、新たに特別寄与料の制度ができました。

(3)特別寄与料の額

特別寄与料は、「被相続人の財産の維持又は増加」した場合に、その範囲で認められます。
例えば、義理の両親を親族が介護することによって、プロのヘルパーに依頼する必要がなくなった場合、ヘルパー代が浮くことになるため、その限度で特別寄与料が認められるものと考えられます。
特別寄与料の額は、当事者間の協議で決めることができ、話し合いがまとまらない場合、裁判所に審判を申し立てることができます。
介護による寄与分について、家庭裁判所で採用している標準的な計算式があります。裁判所では特別寄与料についてもこれに準じるものと思われます。

(4)期間制限

特別寄与料の審判を求めることができるのは、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき又は相続開始の時から1年を経過したとき」までです。
遺産分割がスムーズにまとまらない場合、あっという間に6ヶ月経ってしまい、気が付いた時には遅かったということがあるので、要注意です。

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