まず通帳、キャッシュカードなどにより銀行・証券会社の口座の存在を把握します。通帳等が見つからない場合でも、金融機関から残高等について定期的に報告書が送られてくる場合がありますので、そのような書面が手がかりになることもあります。
また、資料が一切ない場合でも、金融機関の支店に問い合わせることで残高証明書を発行してもらうことができます。例えば、被相続人のご自宅の最寄りの金融機関の他、以前の住所や勤め先近くにある金融機関に念のため問い合わせることがあります。
金融機関に被相続人が亡くなったことを連絡すると、ただちに口座が凍結され、引き出し、引き落としは勿論、入金もできなくなります。不正な引き出しを未然に防止するための措置です。
相続人は、被相続人が有していた預貯金口座について、金融機関に被相続人が亡くなった年月日付の残高証明書を発行するよう、依頼することができます。被相続人が亡くなった年月日付を基準日とするのは、その日が相続の発生日であり、その時の残高が相続財産として遺産分割の対象となるからです(【【預貯金】)。
金融機関は、プライバシー保護の観点から、通常は預貯金者本人以外の人に対して口座に関する情報を開示することはありません。
もっとも、相続の際には、被相続人(預貯金者本人)は既に亡くなっていますから、金融機関はその相続人に対して情報の開示を行います。相続の際に、相続人が金融機関から情報の開示を得るためには、相続の発生と相続人の資格を証明する必要があります。従って、一般的には以下の書類を窓口で提示することが必要となります。
①被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本又は除籍謄本
②相続人(申出人)と被相続人との関係が分かる相続戸籍謄本
③相続人(申出人)の身分証明書
なお、口座の凍結は、緊急性を要するため、特に身分確認を求められません。一般には電話のみの連絡で足ります。
被相続人の口座を相続人が管理しており、使い込みの可能性が疑われる場合、相続人は、金融機関に対し、過去数年に遡って入出金の履歴を印字した取引明細書の発行を依頼することができます。取引明細書を確認することにより、意外と多くの事実を知ることができます。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲