相続税は、遺産(相続財産)を対象として課税されます。
相続税は、すべての相続について課税されるわけではなく、「正味の遺産額」が「基礎控除額」を超える場合のみ課税されます。
相続が発生した場合、正味の遺産額と基礎控除額を比較すれば、相続税の申告が必要か否かを、大まかに把握することができます。
正味の遺産額 > 基礎控除額 | → | 相続税の申告が必要 |
正味の遺産額 < 基礎控除額 | → | 相続税の申告は不要 |
なお、平成23年度で、相続税の申告が必要となった相続は、すべての相続のうち、約4%でした。もっとも、東京都全体を見ると、この比率は約7%にまで上昇しますし、東京23区ないしこれに準じた地域に限ると、更に比率は高まります。
正味の遺産額とは、遺産相続に一定の財産を加え、債務などを控除したものをいいます(【課税遺産総額の計算(STEP1)】)。詳しい計算方法は後程ご説明しますが、それまでは便宜上遺産総額とほぼ一致するものとして考えて頂いて結構です。
遺産総額のうち、相続税の課税対象から除外されるものとして相続税法に定められた一定の金額を基礎控除額といいます。
基礎控除額は相続人の人数によって異なり、その計算は次の算式に従って行います。
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
基礎控除については、後ほど詳しくご説明します(【基礎控除】)。
判断に迷ったら
正味の遺産額が基礎控除額に近い場合、相続税の申告が必要か否かの判断が難しい場合があります。
相続税の申告が必要であるにもかかわらず、相続税の申告を行わず、相続税の申告のないことを税務署から指摘されると、相続税本税の他に無申告加算税というペナルティーが科されるため、税理士に相談するなど慎重な対応が必要です。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月です。
相続税の申告を行うためには、すべての相続財産(債務を含みます)を確定する必要があります。従って、相続税の申告に先立って、相続財産を調査する必要があります。相続財産の調査については、【相続財産の調査】をご覧下さい。
相続税の申告は、通常、税理士に依頼して行います。税理士にも得意不得意があるため、正しい判断に基づく申告を行うためには、誰でも良いと言う訳ではなく、相続税に詳しい税理士を選ぶ必要があります。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲