遺産分割調停Q&A

よくある質問にお答えいたします

Q&A

遺産分割調停とは何ですか

Q.

遺産分割調停とは何ですか。

A.

遺産分割調停は、裁判所で行う話し合いです。
ただし、当事者が直接話し合うのではなく、裁判所が選んだ調停委員を通じて話し合いを行います。
第三者を挟むこと、ルールのある話し合いであることが、裁判所の外での話し合いとは違うところです。

調停に出席するのは誰ですか

Q.

調停に出席するのは誰ですか。

A.

すべての相続人は、当事者として調停に出席する資格があります。
また、当事者が弁護士を代理人として選んでいる場合、弁護士も一緒に出席します。
ただし、遠方に住んでいたり、病気をしていたりして本人の出席が難しい場合、弁護士のみが出席しても構いません。
なお、調停の当事者のうち、調停の申立てを行った人を「申立人」、それ以外の人を「相手方」と呼びます。

話し合いを避けるために調停に出席しない当事者がいたらどうなるのでしょうか

Q.

話し合いを避けるために調停に出席しない当事者がいたらどうなるのでしょうか。

A.

話し合いを避けるため意図的に調停に欠席を続ける当事者がいる場合、調停は成立しません。
この場合、裁判所が遺産分割について自ら判断し、審判を行います。

欠席を続ける当事者は、自らの主張を取り上げてもらう機会を失うため、かえって損をする可能性があります。
このように、調停を避けることはできない仕組みになっています。

調停はどこで行われますか

Q.

調停はどこで行われますか。

A.

調停は、家庭裁判所の「調停室」と呼ばれる部屋で行われます。
調停室は、法廷のように公開されている訳ではなく、傍聴席はありません。
調停室では、原則として、当事者双方が同席することはありません。
当事者と代理人の弁護士が、調停委員2名とテーブルを挟んで向かい合って話をします。

裁判所には、調停室の他に、当事者用の控室があります。
当事者が他の立場の当事者と顔を合わせることのないよう、裁判所には、申立人側と相手方側の2つの控室が設けられています。

調停の際、控室には当事者のご家族も入ることができます。
ただし、調停室に入ることができるのは、当事者本人と代理人の弁護士だけで、ご家族が入ることはできません。

調停委員はどのような人でしょうか

Q.

調停委員はどのような人でしょうか。

A.

調停委員は、裁判所の職員ではなく、比較的年かさで社会経験のある人が、裁判所の委嘱を受けて調停委員を務めています。
2名の調停委員のうち、1名は男性で、1名は女性です。

また、東京家庭裁判所では、調停委員のうちの1名が弁護士の資格を持っています。
これは、裁判所での話し合いである以上、司会進行役である調停委員も法律に詳しい人である必要があるからです。

なお、調停委員はあくまで中立の立場であり、弁護士の資格を持っていても、代理人のように当事者にアドバイスをしてくれる訳ではありません。
また、調停委員も人である以上、個性があります。
そして、調停委員の個性は、調停の進行に大きな影響を与えます。
思わぬ不利益を避けるためには、調停委員の個性を見抜いた上での対応も必要です。

なお、調停には、調停委員の他に、裁判官も関与しています。
裁判官は、調停の進行状況について、調停委員から随時報告を受けていますが、合意が成立する場面を除き、普段は当事者の前に姿を現すことはありません。

調停はいつ行われますか

Q.

調停はいつ行われますか。

A.

調停は、予め裁判所が決めた調停期日(平日)に行われます。
開始時刻は、午前10時(もしくは午前10時半)に始めるか、午後1時(もしくは午後1時半)に始まるかのどちらかです。稀に午後3時から始まるときもあります。

調停を申立てる場合、曜日などの都合について希望を出すことができます。
1回目の調停期日は原則として申立人側の都合だけで決まります。2回目の期日からは出席者全員の都合を聞いて期日を決めます。

調停はどのように進みますか

Q.

調停はどのように進みますか。

A.

調停期日は、当事者双方がそれぞれの控室に入った状態から始まります。
調停委員がどちらかの当事者(例えば申立人)の控室を訪れ、当事者とその代理人を調停室に案内し、話を聞きます。
ひとしきり話し終わったら、当事者と代理人は自分の控室に戻ります。
次に、調停委員が先程とは逆側の当事者(例えば相手方)の控室を訪れ、当事者とその代理人を調停室に案内します。

そして、先ほど聞いた話を伝えると共に、返答を尋ねます。
話が終わったら、当事者と代理人は控室に戻ります。これで1回転です。

1日の調停期日はおよそ2時間が上限です。この時間の限度でその日の話し合いを続けます。話の進行によっては、2時間かからずに終わることもあります。
平均すると1回の調停期日に2回転くらいしますが、1日の回転数は調停の進み具合や当事者の話の長さなどによって大きく変わります。

最後に、調停委員は、当事者の一方又は双方に対し、次回までの検討課題や、提出すべき資料を伝え、次の期日を決めて解散します。

次の期日は、おおむね1ヶ月から1ヶ月半程度先の日になります。
1ヶ月というと結構先のように思えますが、ただ待つのではなく、次の期日の準備に時間が必要なため、必ずしも暇な時間が長く続く訳ではありません。

調停にはどれくらいの期間がかかりますか

Q.

調停にはどれくらいの期間がかかりますか。

A.

調停にどれくらいの期間がかかるかは、当事務所のここ数年間の取り扱い事件の中でも、最短4ヶ月から最長2年2ヶ月(審判及び抗告審を含む)までとケースごとに大きく異なります。

また、調停を始める時点では、今後、当事者がどのような点について争うかや、次の期日までにしっかりとした準備をして来るかなどによって展開の早さは大きく異なり、完全な見通しを立てることは困難です。
あえて言うと、調停開始から調停成立まで9ヶ月〜1年程度の場合が多く、1年半であればやや長めという印象です。

なお、最初のご相談時に「調停が成立するまで、今からどれだけの期間がかかりますか」というご質問を良く頂きます。
このようなご質問を頂く背景には、「今の辛い状態が一体いつまで続くのか」というお気持ちがあるように見受けられます。

最初にご相談を頂く際には、それまで当事者間で直接交渉してきたことから、ストレスが溜まっている方が多く、そのようなご質問を頂くことも無理がないものと思われます。
しかしながら、ご相談が終わる頃には、解決までのおおよその道筋が見えるため、多くのお客様は見違えるほどに笑顔になります。
調停期間は解決までの期間ですが、決して「辛い時間」ではありません。

調停になると時間がかかるのではないでしょうか

Q.

調停になると時間がかかるのではないでしょうか。

A.

誤解です。
遺産分割調停を行うのは、相続人の間の感情的対立が強かったり、話し合いを拒む当事者がいたり、争点が沢山あったりして、当事者間では解決が難しい場合が大半を占めます。

このような場合、解決には時間が相当の時間がかかることを覚悟せざるを得ません。
つまり、時間がかかる原因は、解決すべき問題そのものにあり、調停という手段を選んだことではないのです。

むしろ、調停では、早く解決するための工夫がなされているので、話にならない相手と無理に話し合おうとするより早く確実に解決することが期待できます。
このようなケースで無理に裁判所外での解決を図ろうとすると、話し合いが平行線に陥り、無駄に時を重ねることになりかねません。

世間一般に、調停で時間がかかることを恐れるあまり、無理に裁判所の外で解決しようとしてうまく行かず、にっちもさっちも行かなくなってから調停を申し立て、かえって時間を無駄にするケースが非常に多く見られます。
調停をためらわないことが解決の早道です。

もし調停がまとまらなかったらどうなるのでしょうか

Q.

もし調停がまとまらなかったらどうなるのでしょうか。

A.

当事者間での話し合いが決裂した場合、調停は不調により終了し、審判に移行します。
審判では、遺産分割について裁判所が自ら判断を下します。
訴訟の判決に似たものと考えて下さい。

調停のどのようなところが良いのでしょうか

Q.

調停のどのようなところが良いのでしょうか。

A.

裁判所の外で話し合うのと比べ、調停には優れた点がいくつもあります。

(1)解決が確実であること
調停で話し合いが付かない場合、裁判所が審判により遺産分割を行うため、確実に解決を図ることができます。
(2)合理的な解決が図られること
裁判所で法律に基づいた話し合いを行うため、合理的な解決がもたらされることが期待できます。決して、人の話を聞かない人や、声の大きい人の言い分が一方的に通ることはありません。
(3)早く解決するための工夫があること
調停では、基本的に、以下の5段階に分けて話し合いを行い、それぞれの段階ごとに話がまとまった時点で中間合意を行います。
  • ①相続人の範囲
  • ②相続財産の範囲
  • ③相続財産の評価
  • ④寄与分と特別受益
  • ⑤具体的分割方法
この中間合意は、調停を担当する裁判官の前で行われ、後の段階で話し合いが決裂した場合も覆すことができません。審判に移行する場合も、中間合意の内容は基本的に維持されます。 従って、調停では、遺産分割の成立に向けて着実に前進することが可能となっています。

調停を自分で申し立てることはできますか

Q.

調停を自分で申し立てることはできますか。

A.

制度上は、当事者が遺産分割調停を自分で申し立てることも不可能ではありません。
しかしながら、専門家ではない方が申立書やその添付書類を自分で作成することは大変手間がかかります。

また、自分の判断で調停を進めると、知らぬうちに損失を被ることがあります。
従って、遺産分割調停を行う場合、弁護士が代理する場合がほとんどです。

当事者双方に弁護士がついた場合、調停をするよりも弁護士同士で話し合った方が早く解決するのではありませんか

Q.

当事者双方に弁護士がついた場合、調停をするよりも弁護士同士で話し合った方が早く解決するのではありませんか。

A.

必ずしもそうとは言えません。
裁判所の外で話し合う場合、調停のように期日が決まっている訳ではないので、相手の都合により、交渉を引き延ばされる危険性があります。

経験上も、弁護士同士の話し合いがスムーズに進んだ場合と、話し合いが長引き、調停の方が早く解決したであろうと思われる場合の双方があり、どちらの方が早いとは一概には言えない状況です。
ここでは詳しい話は避けますが、過去を振り返ると、調停を利用しない方が早いのは、いくつかの条件に恵まれた場合です。

時間を無駄にしないよう、調停を申し立てるのか、話し合うのか、最初の段階での見極めが大切です。

弁護士からのメッセージ

相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
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これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。

弁護士からのメッセージ

弁護士  加藤 尚憲

弁護士に依頼するメリット

  • 弁護士が代わって交渉するため、相手と直接話し合う必要がなく、ストレスが軽減します
  • 弁護士の専門的知識を背景にした判断により、損失を避け、最短距離の解決を目指します
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