13-4-3 法定相続人全員の範囲を証明するとき

13-4-3 法定相続人全員の範囲を証明するとき

(1)法定相続人全員の範囲の証明が必要な場面

戸籍謄本により法定相続人全員の範囲(すなわち「法定相続人の全員が誰か」ということ)を証明する必要があるときがあります。
典型的な場合として、遺産分割に基づく預貯金の名義変更手続を行う際に、金融機関の窓口に法定相続人全員の範囲が分かる戸籍謄本を提出する必要があります。なぜなら、遺産分割は法定相続人全員の合意によって行ったものでなければ有効ではないからです(【遺産分割のあらまし】)。
また、相続の限定承認も、法定相続人全員が揃って行う必要があるので、限定承認の申述の申立を行う際には、裁判所に法定相続人全員の範囲が分かる戸籍謄本を提出する必要があります。

(2)法定相続人全員の範囲の証明に必要な戸籍謄本

法定相続人全員の範囲の証明に必要な戸籍謄本は、法定相続人が①直系卑属、②直系尊属、③兄弟姉妹・甥姪のいずれであるかにより異なります。以下、それぞれの場合に分けてご説明します。

(3)直系卑属が相続人となる場合

直系卑属が相続人となる場合の必要戸籍は以下の通りです。
①被相続人の「出生から死亡までのすべての戸籍」

(理由)
直系卑属の全員を確定するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍をたどり、被相続人の一生のうちで、子が何人いるかを確認する必要があります。

(4)具体例(直系卑属が相続人となる場合)

【直系卑属が相続人となるときの(4)】の具体例で、和子さん、太郎さん、次郎さんの3人が遺産分割協議を行い、その結果に基づいて相続の手続を行ったとします。その際、相続人の範囲を確定するためには、
①良太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(良太郎さんの子が太郎さんと次郎さんだけであることを確定するため)
が必要です。

(5)直系卑属による代襲相続

直系卑属の代襲相続人がいる場合は、別途、被代襲者の「出生から死亡までのすべての戸籍謄本」が必要になります。

(理由)
代襲相続人の全員を確定するためには、被代襲者の出生から死亡までのすべての戸籍をたどり、被代襲者の一生のうちで、子が何人いるかを確認する必要があります。

(6)具体例(直系卑属による代襲相続)

【代襲相続の(6)】の具体例で、小太郎さんと次郎さんが遺産分割協議を行い、その結果に基づいて相続の手続を行ったとします。その際、相続人の範囲を確定するためには、①良太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(良太郎さんの子が太郎さんと次郎さんだけであることを確定するため)
②太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(太郎さんの代襲相続人が小太郎さんだけであることを確定するため)
が必要です。

(7)直系尊属が相続人となる場合

直系尊属が相続人となる場合の必要戸籍は、以下の通りです。

①被相続人の「出生から死亡までのすべての戸籍」
(理由)
直系尊属が相続人であることを確認するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍をたどり、被相続人に直系卑属が1人もいないことを確認する必要があります。

②被相続人から見て相続人と同順位の親等の直系尊属全員(例えば、父又は母が相続人となる場合は父母の双方)の戸籍謄本
(理由)
直系尊属として相続人となる人全員を確定するために必要です。仮に、同順位の親等の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。

③(祖父母以上の世代の人が相続人となる場合)相続人よりも被相続人に親等が近い人全員の死亡が確認できる戸籍謄本
(理由)
被相続人の直系尊属が相続人となる場合は、被相続人と親等が近い人が優先して相続人となります。従って、相続人より被相続人に親等が近い人が一人もいないことを確認する必要があります。

(8)具体例(直系尊属が相続人となる場合)

【直系尊属が法定相続人となるときの(5)】の具体例で、花子さんと和子さんが遺産分割協議を行い、その結果に基づいて相続の手続を行ったとします。その際、相続人の範囲を確定するためには、
①太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(太郎さんに直系卑属がいないことを確定させるため)
②良太郎さんの死亡がわかる戸籍謄本(相続開始時に生存していた太郎さんの直系尊属が和子さんだけであることを確定するため)
が必要です。

(9)兄弟姉妹が相続人となる場合

兄弟姉妹が相続人となるときの必要戸籍は、以下の通りです。

①被相続人の「出生から死亡までのすべての戸籍」
(理由)
被相続人に直系卑属が1人もいないことを確認するためです。

②すべての直系尊属の死亡当時の戸籍謄本(戸籍が除籍されている場合は除籍謄本)
(理由)
直系尊属がすべて亡くなっていることを確認するためです。

③被相続人の父母それぞれの「出生から死亡までのすべての戸籍」
(理由)
被相続人の兄弟姉妹の全員を確定するためです。なお、父母それぞれの出生に遡るため、戸籍謄本の数が相当多くなります。

(10)具体例(兄弟姉妹が相続人となる場合)

【兄弟姉妹が法定相続人となるときの(3)】の具体例で、花子さん、次郎さん、三郎さんの3人が遺産分割協議を行い、その結果に基づいて相続の手続を行ったとします。その際、相続人の範囲を確定するためには、
①太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(太郎さんに直系卑属がいないことを確定するため)
②良太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(下記③とあわせて、太郎さんの兄弟が次郎さんと三郎さんだけであることを確定するため)
③和子さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(上記②とあわせて、太郎さんの兄弟が次郎さんと三郎さんだけであることを確定するため)
が必要です。

直系尊属がすべて亡くなっていることの証明について
多くの相続の場合、被相続人の直系尊属は、すべて亡くなっています。しかし、例えば兄弟姉妹による相続の際に、直系尊属がすべて亡くなっていることを厳密に証明することは容易ではありません。仮に、戸籍が存在する限り世代を遡って戸籍謄本を用意する必要があるとするならば、非常に煩雑になります。
しかし、実際上は、被相続人が老齢で亡くなった場合、その親の世代が生きていることはまず考えられません。ましてや、更に上の世代が生きている可能性はないといって良いと思われます。従って、親よりも上の世代について死亡当時の戸籍謄本の提出を求められることは稀です。

(11)甥姪による代襲相続

甥姪が代襲相続人として兄弟姉妹が相続人となるときは、仮に被代襲者が相続人となっていた場合に必要であったはずの戸籍謄本に加え、別途、被代襲者の「出生から死亡までのすべての戸籍謄本」が必要になります。

(理由)
代襲相続人の全員を確定するためには、被代襲者の出生から死亡までのすべての戸籍をたどり、被代襲者の一生のうちで、子が何人いるかを確認する必要があります。

(12)具体例(甥姪による代襲相続)

【代襲相続の(9)】の具体例で、小太郎さんが相続の手続を行ったとします。その際、相続人の範囲を確定するためには、
①次郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(次郎さんに直系卑属がいないことを確定するため)
②良太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(下記③とあわせて、次郎さんの兄弟が太郎さんだけであることを確定するため)
③和子さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(上記②とあわせて、次郎さんの兄弟が太郎さんだけであることを確定するため)
④太郎さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本(太郎さんの代襲相続人が小太郎さんだけであることを確定するため)
が必要です。

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弁護士  加藤 尚憲

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