被相続人が死亡の日に所持していた現金(たんす預金等)が相続財産となります。現金が見つかった場合は金額を控えておきます。現金の管理には、出納帳を利用すると便利です(【現金の管理】)。
被相続人の死亡日の預貯金残高を確認するため、金融機関に、被相続人の死亡日を基準日とする預貯金残高証明書の発行を求めます(【預貯金の調査】)。
なお、一般的に、被相続人の死亡の後に、相続人が預貯金の引き出しを行ったり、公共料金の引き落としがあったりすることにより、被相続人の死亡日後に預貯金残高が変動するのが通常ですが、被相続人の死亡後の残高の変動は相続税の額に影響しません。
もっとも、相続発生直前の預貯金の引出しがなかったかを調べるため、過去6ヶ月程度遡って預金通帳の確認を行います。
被相続人以外の人の名義の預貯金であっても、法的には被相続人に帰属する場合、その預貯金は相続財産となります。
例えば、被相続人の生前に被相続人名義の口座から親族名義の口座にまとまった額の資金が振り込まれていたとします。このとき、親族名義の口座に振り込まれた資金は、当然に親族のものになるわけではありません。なぜなら、資金が移動していただけでは、それが贈与であったのか、貸付であったのかは分からないからです。贈与契約書があったり、贈与税の申告がなされたりしているなど、贈与であることが明らかでない限り、振り込まれた資金が被相続人に帰属する(すなわち相続財産である)ものとして相続税の課税対象となる可能性があります。
名義預金は、税務調査により判明することが多く、その場合、ペナルティとして延滞税や過少申告加算税が課されることとなりますので、十分注意が必要です。
名義預金の有無を確認するときは、過去およそ5年程度の通帳を用意します。通帳が見つからない場合、金融機関に取引履歴の発行を求めることができます(【預貯金の調査】) 。
なお、被相続人だけでなく、相続人の通帳を確認することにより、名義預金を発見することもあります。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
そして、ご相談・ご依頼の後、多くのお客様の表情は、見違えるほど明るくなります。
まだ問題が解決していなくても、直接交渉のストレスから解放され、問題が解決していく道のりを知るだけで、気持ちは大きく変わるのです。
これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
あなたもストレスや不安な気持ちに別れを告げるために、思い切って一歩を踏み出しましょう。ご相談をお待ちしています。
弁護士 加藤 尚憲