相続財産に関する問題
相続人に関する問題
兄弟間で不動産を共有している場合があります。
その共有の多くは、相続を原因として発生したものです。
共有となった事情は様々ですが、兄弟間で不動産を共有していると、様々な問題がおきやすくなります。
例えば、不動産がある相続人の自宅の場合、自宅に住んでいない相続人は不動産を全く利用することができません。
また、不動産を売ろうとしても、現在自宅に住んでいる兄弟の反対にあってしまいます。
利用も処分もできないのなら、何のための権利か分かりません。
このような場合、他の共有者に共有物分割請求をし、共有関係の解消を図ることが解決方法となります。
亡くなった方に借金がある場合、あるいは借金があると疑われる場合、相続人がそのまま何もしないと借金を相続してしまい、自ら借金を返す義務を負ってしまいます。
従って、借金(あるいはその可能性)がある場合は、調査の上、裁判所に相続放棄や限定承認のどちらかを申立てることが解決方法となります。
相続が発生したのに不動産(特に土地)の名義が長期間にわたって変更されず、結果として大昔に亡くなった方の名義のままになっていることがよくあります。
そのような場合、不動産の管理について誰に責任があるのか明確でなく、不動産が放置されたままになっていることもあります。
また、不動産を管理する人がいたとしても、管理権限の法的根拠は必ずしも明らかではありません。
このような問題を解決するために、2022年4月1日から相続による不動産の取得を知った時から3年以内に相続登記を行うことが義務化されました。
大昔に亡くなった方の名義の不動産が存在する場合、その方の遺産分割がまだ終わっていないことになります。
従って、基本に戻って、大昔に亡くなった方の遺産分割を行うことが解決方法となります。
ただし、通常の遺産分割と異なり、現在では、相続人やその更に相続人が亡くなったことにより、相続人の数が数十人に膨れ上がっていることが多く、状況に応じた特別な対応が必要となります。
法律上、相続人は、配偶者と①子、孫、ひ孫などの直系卑属(第一順位)、②父母、祖父母、曾祖父母などの直系尊属(第二順位)、③兄弟姉妹又はその子(第三順位)と定められています。
従って、生涯にわたり結婚せず、お子さんもいらっしゃらない方で、兄弟姉妹もいない場合(又は兄弟姉妹がいても子がないまま、全員先に亡くなっている場合)は、相続人がいないことになります。
相続人がいない場合、相続財産はいずれ国庫に帰属することになります。
しかし、相続財産の中で不動産や多額の預貯金がある場合など、相続財産をそのまま国庫に帰属させるのは勿体ない場合もあります。
そのような場合、裁判所に相続財産管理人選任の申立てをした上で、その手続の中で特別縁故者に対する財産分与を申し立てることができます。
相続人の中に、高齢や病気により意思表示ができない人がいる場合があります。
そのような場合でも、遺産分割は相続人全員の合意が必要なため、意思表示ができない相続人を除外して遺産分割を行うことはできません。
また、意思表示できない相続人に無理やり遺産分割協議書に署名捺印させたとしても、法律上有効な遺産分割とはなりません。
意思表示できない相続人がいる場合、裁判所に後見人の選任を申立て、後見人(又は特別代理人)が本人を代理して遺産分割を行うことが解決方法となります。
相続人の中に、行方不明の人がいる場合があります。
そのような場合でも、遺産分割は相続人全員の合意が必要なため、意思表示ができない相続人を除外して遺産分割を行うことはできません。
行方不明の相続人がいる場合、解決方法は2つあります。
1つは、行方不明の相続人について裁判所に失踪宣告を申立てる方法です。
もう1つは、行方不明の相続人について裁判所に不在者財産管理人の選任を申立て、不在者財産管理人との間で遺産分割を行う方法です。
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弁護士 加藤 尚憲