相続の対象となる財産を「相続財産」といいます。
相続財産は、
①被相続人の
②死亡時の
③すべての権利と義務
からなります(民法882条、民法896条本文)。
権利と義務を、それぞれ、積極財産(プラスの財産)、消極財産(マイナスの財産)と呼ぶこともあります。
相続人は、これらの財産全体を相続します(積極財産だけを相続することはできません)。
但し、被相続人の一身に専属する権利は相続されません(民法896条但書)。
一般に、相続財産には、次のようなものがあります。
①積極財産(プラスの財産)の例 | ②消極財産(マイナスの財産)の例 |
---|---|
不動産 預貯金 信託受益権 現金 ゴルフ会員権 |
借金 連帯保証債務 |
相続の開始により、相続人は、すべての相続財産を共有します(民法898条)。この状態を「遺産共有」と呼びます。例えば、相続財産の一部である不動産、有価証券や現金は、遺産分割前は、相続人が全員で共有しています。共有の持分割合は、相続人それぞれの相続分に応じます(民法899条) 。
遺産共有は、遺産分割により共有関係が解消されるまでの、いわば暫定的な共有状態です。
なお、預貯金や借入金などについては、ルールが異なるため、個別の項目で説明しています(【預貯金】、【借入金と連帯保証債務】)。
相続財産となるかが問題となる財産として、生命保険金、死亡退職金、香典があります。
これらについては、それぞれ詳しく別の項目で説明します(【生命保険金】、【死亡退職金】、【香典】)。
また、葬儀費用についても、誰が負担するかが問題となりますので、別の項目で説明します(【葬儀費用の負担者】)。
相続財産の調査の方法については【相続財産の調査】を参照して下さい。
弁護士からのメッセージ
相続のトラブルについて自分で相手と直接交渉すると、感情がからみ、ストレスが溜まります。
また、今後どうして良いのかや、結果が分からないため、「もやもやとした気持ち」に悩まされ続けます。毎年、沢山のお客様が、このような気持ちを抱えて当事務所にお越しになります。
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これは、登山の途中で、山道の続く先に山頂を見付けた時の気持ちと同じです。
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弁護士 加藤 尚憲